Robert Schumann / Fantasiestücke, Op.73
ロベルト・シューマンはとくにピアノ曲と歌曲にその才能を発揮した作曲家で、妻であるクララへの情熱的な愛を注ぎながら、音楽人生を歩んでいきました。
シューマンの作曲活動は、クララとの結婚前まではピアノ曲がほとんどでしたが、結婚が迫ってくると同時に歌曲の作曲が増えていきました。『ミルテの花』『女の愛と生涯』『詩人の恋』など、1年間で120曲以上も作り、この1840年のことを「歌曲の年」と今では呼ばれています。ちなみに1841年は「交響曲の年」、1842年は「室内楽の年」と呼ばれており、シューマンの特徴として、ひとつに拘る、という作曲傾向が見られます。
そんなシューマンが1849年に作曲した独奏楽器のための一連の作品(他にはアダージョとアレグロOp.70などがある)に属するのが、今回演奏する『幻想小曲集 作品73』です。クラリネットとピアノのための室内楽曲で、なんと2月12日から13日にかけての短期間に作曲されました。
曲は比較的短い3つの小品から成り、それぞれ異なる性格を持ちます。Zart und mit Ausdruck 「静かに、感情を込めて」、Lebhaft, leicht 「活発に、軽やかに」、Rasch und mit Feuer 「急速に、燃えるように」。その一方で、各曲には三連符のリズムや動機の連関が存在し、また指定のテンポが徐々に加速していくように設計されているなど、全曲の統一も図られています。
オリジナルのクラリネットに並びチェロでの演奏機会も非常に多いこの曲を、メイン曲に合わせて選曲いたしました。
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